ライフスタイルプロデュースのコーチングの事例をご紹介します。
敏腕コンサルタント、上級マネジメント職として、さらなる成長を実現。
Iさんは、以前私が外資系コンサルティング会社に勤務していたときに、同じ会社の他部門に所属されておりました。お互い、顔見知りではあったのですが、当時はそれほど親しい関係ではありませんでした。その後、私はベンチャー企業へ、IさんはMBA留学→ベンチャーキャピタル会社→外資系コンサルティング会社と別々のキャリアを歩んでいたのですが、あるとき数年ぶりに偶然再会。「自分の会社を立ち上げ、エグゼクティブコーチングをしています」とお話をしていたところ、「実はコーチングをお願いしたいことがあります。」とご依頼を頂きました。

当時、Iさんは、その領域では業界ナンバーワンの外資系コンサルティング会社で、プロジェクトマネジャー職、つまり、プロジェクトの実行責任者、そして、マネジント職として、活躍されていました。いくつかのプロジェクトのマネジメントを担当され、また、複数の部下を抱えていらっしゃり、周囲からの人望も厚く、まさに順調にキャリアを積み重ねてらっしゃるように見えました。
ただ、そんなIさんがご自身の課題として悩まれていたのは、社内においても、社外においても、相手とのより深い信頼関係を築き、その相手の琴線に触れ、アクションに結び付く様な的確な言葉を投げかけることができるか、というもの。
Iさんは、そのままでも、マネジャー職、コンサルタントとして、人望もあり、かつ、結果を残されてきた優秀な方だと思われましたが、自分自身の課題をしっかりと見つめ、自分自身をより成長させようと考えぬいた末に出てくるIさんらしい悩みであり、高いレベルの課題だと感じました。
問題点の洗い出し
全10回のセッションの前半では、よりフォーカスすべき領域を確認するために、普段の生活、業務の中で起こっている場面やシチュエーションを共有させてもらい、どのような問題が発生しているのか、お互いの対話やわたしからの質問を深めていきました。その結果、まずフォーカスすべき領域としては、「プロジェクトワークにおける部下のマネジメント」、そして、「セールスとしてお客さまと面談している時の相手の心のつかみ方」であると確認できました。
Iさんは、とてもお話も上手で、とくに大勢の方を対象としたセミナーや講演では、自他共に認めるほど、相手をひきつける雰囲気作りと上手なお話の展開をされます。なので、なぜ、上記のような課題が出てくるのは、はじめにお会いしたときは、想像がつきませんでした。
部下へのマネジメントに対する気付き
しかし、対話と質問を進めるにつれて、「部下のマネジメント」においては、自身が完璧主義であり、自分が実施するプロジェクトの品質には、自信と誇りをお持ちでしたが、その高い品質を否応なく部下に押し付け、細かな点まで、部下のアウトプットをチェックしなければ、気がすまないというIさんのメンタルモデルが表れてきました。
さらにその結果として、部下たちは、自分たちの自主性や創造性が発揮できず、抑制されていると感じているのではないか、または、本来の彼らの実力が出し切れていないのではないかという疑問にIさん自身が思い当たりました。
完璧主義思考を軟化。部下を信じるということ
ちょうどその時、チームとして、大勢の前でプレゼンテーションを開催する企画があり、Iさんは、全てをある部下の方に任せるようにされました。普段であれば、アウトプットの一言一句までチェックするところを、大きな枠のみの方針を与え、本当は細かな点までチェックをしたい衝動を抑えつつ(笑)、あとは部下の方に自由にやってもらうようしたのです。そして、プレゼンテーション当日、その部下の方は、Iさんの想像をはるかに超え、Iさん自身も大絶賛のプレゼンテーションをやってのけたとのこと。
この部下の方のケースを目の当たりにしたIさんは、それまでとっていた部下との接し方、プロジェクトにおける部下のマネジメントのアプローチを大きく変えるようになりました。大枠においては顧客の求める品質以上を担保しつつ、部下の自主性や創造性を尊重して、それが発揮できるような環境をつくり、あとは、部下に任せること。その結果、部下もイキイキと働くようになり、Iさんが思っていた以上の結果を出すように変わっていったとのこと。そして、Iさんの上司や部下からは、「Iさんが最近変わった。いい意味で柔らかく、余裕が感じられる。」とフィードバックを受けるまでになられたのです。
お客様と同じ目線で
また、「セールスとしてお客さまの心のつかみ方」についても、お客さまとのシチュエーションを振り返る対話、質問を進めるにつれて、Iさんのなかでお客さまと接している時の自分のメンタルモデルを発見し、そこから大きな気付きが出てきました。「自分は、もしかしたら気付かないうちに、コンサルタントとして、お客さんよりもこれだけのことを知っているんだ、とお客さんを見下ろすような意識で接していたのかもしれない。また、一緒に同行する上司や同僚に対して自分のバリューを理解してもらいたいがために、お客さんのためでなく、自分ための発言をしていたのかもしれない」と。
それからは、Iさんは、お客さまとの面談では、如何にいまのお客さまの立場、シチュエーション、課題などを深く読み取れるか、そして同じ目線で、同じ言語で、お客さまの隣に並んで、同じ方向からお客さまの課題を見て、一緒に考えていけるか、というセルフイメージを持つようになり、実践するように変化されていったのです。
Iさんのコーチングセッションでのアプローチは、Iさん自身が、論理的思考能力と自己対話能力(自分への「問い」の能力)、そして、問題解決力が素晴らしい方であったので、日々の出来事、疑問に関しての対話と質問を繰り返すことを中心に行ないました。また、NLPのエクササイズを用い、本質的な意味で自分自身を知り、より深い気付きを得てもらうことを心掛けていきました。
そして、Iさん自身にとって、大きな変化というのは、「心」の変化だと感じます。それまでのどちらかというと堅い、厳しい「心」から、柔らかい、余裕のある「心」へと変わっていったのです。
とかく論理を駆使して、物事を進めていくフィールドの仕事では、感情や心よりも論理的に正しいかどうかが優先されがちです。しかし、会社経営は、「情」と「理」、「感情」と「論理」、「右脳」と「左脳」のそれぞれ両方がともに必要で、そのバランスを常にその状況に合わせて取っていくかなのです。
Iさん自身から、「周囲の方から、こんないいフィードバック」をもらいましたと、うれしそうな笑顔で、話をしてくれるのを伺うと、わたし自身がとてもうれしい気持ちになります。
Iさんは、コーチングをスタートされてから、数ヶ月後には、社内昇進をされ、さらにマネジメント層に近い責任あるお立場で、事業部マネジメント、担当プロジェクトのマネジメント、ビジネスディベロップメント(セールス)と幅広い領域で、イキイキと活躍されています。